偏差値の正体 入門編

私と偏差値との関わり

私は、大手予備校で多くの受験生の合格判定に携わってきました。

概ね、18年間にわたり、約5000万人分のデータ分析及び合格判定を出していたのだから、学力偏差値や合格判定基準の仕組みを熟知している数少ない教育関係者であると自負しても良いのではないでしょうか。

偏差値の必要性

さて、何故、学力偏差値が必要になったか、ここで論じるまでも無いと思いますが、簡単に言うと問題の難易度や平均点に左右されない評価の物差しが欲しかったからです。

例えば、同じ80点の点数をとっても、平均点が30点の場合と50点の場合では、その「得点の価値」が変わってくるのはお分かりでしょう。

また、多くの生徒が平均点付近に密集していた時に飛びぬけて高い点数や低い点数を取った場合は、その「得点の特異性」が目立ってきます。

学力偏差値とは、統計的手法を用いて、『得点の価値』や『得点の特異性』(統計的には”珍しさ”)を数値化したものです。

そうすることで、異なるテストを受験した者同士を偏差値と言う同じ物差して比較できるので、過去のデータから合格の可能性を統計的に類推することが出来るという仕組みになります。

実は、前提条件が大事

さて、これは本当でしょうか?

実は、学力偏差値には大事な前提条件があります。

『比較されるそれぞれの統計値の集合の特性が等しく正規分布を形成していること。』

言い換えると、

平均点の当たりに多くの得点が集まっていて、平均点から遠ざかるほど得点の分布が少ないこと

近年の様に、勉強をあきらめていない子と勉強をあきらめている子の2つの集団が存在し、2コブラクダのような得点分布は、学力偏差値の前提条件にはない。そのため、学力偏差値の物差しが多少狂い始めています。

受験者全体の学力レベルが同様であること

例えば平均的な模擬試験を受験した時に偏差値65を取れる生徒が、ある特定の志望校を受験する生徒だけが受ける模試を受験した場合にどうなるか。

仮に『早大学院模試』のようなものがあって、それを受けた場合には、同じような生徒が沢山受けるので、学力偏差値は50位になってしまうことでしょう。

それは、学力偏差値が、平均点が偏差値50になるように考えられているからです。

偏差値の算出方法

さて、学力偏差値の計算式は、

学力偏差値 = 50 + (得点-平均点)/(標準偏差)×10

ここで言う標準偏差というのは、得点分布の『散らばり具合』です。

平均点付近に得点分布が密集しているときは値が小さく、全体的に解く点が分布しているときは値が大きくなります。

例えば、平均点が60点の時の90点の偏差値は、
標準偏差が15の時は、 50 + (90-60)/(15)×10 = 70
標準偏差が20の時は、 50 + (90-60)/(20)×10 = 65

偏差値の正体を知っておくことが大事

同じ平均点のテストでも、0点から100点まで得点分布がある場合、90点と言う得点は珍しくありません。

しかし、平均点の近くにほとんどの得点が集中している場合、90点と言う得点は珍しいのです。

これが、学力偏差値に反映されるために、得点と平均点が同じでも学力偏差値が変わってきてしまうのです。

m = \frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N}x_i

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