高校入試の学力偏差値はあてにならない!
そう思っている受験生や親御さん、現場の先生方も多いのではないでしょうか。
これには、大きく3つの理由があります。
高校入試の学力偏差値はあてにならない3つの理由
1.公立高校と私立高校の選抜方式の違いによる問題
2.模擬試験実施業者の合格判定基準の出し方の問題
3.模擬試験の成績表を見て進路指導をする教育関係者のスキルの問題
この中で、1つ目の問題と2つ目の問題について言えば、それぞれの立場の方々には『大人の事情』があるということです。
それ以上は言えませんので、個別にご相談ください。
さて、3つ目の問題についても根本的な問題なので、教育関係者にとっては耳の痛いところだと思いますが、私は、受験生とその親を支援する立場なのでハッキリ言わせていただきます。
前提条件を明確に理解しているかどうかが問題
本来、学力偏差値は、進路指導に使う統計資料を『同じ物差し』で比較するため、曖昧さを解消するために開発されたものです。
ただし、それには厳密な前提条件があるのです。「比べる統計の母集団の属性が同様である。」と言う前提です。
大学受験の場合
大学受験の例を出すとハッキリ分かるので、チョットだけ大学受験のことに触れておきましょう。
例えば、ある年のベネッセの模試と駿台の模試で比較した場合、ベネッセでは早稲田大学政治経済学部の学力偏差値は84ですが、駿台では66でした。
同じ大学を受験するのに、20近くも偏差値が違うのです。これは、模擬試験を受験する生徒の学力の違いに原因があるのですが、それを知らずに偏差値だけで話をするとおかしなことになります。
多くの教育関係者は、このような学力偏差値の違いの意味を正確に理解していません。ですから、進学指導の際には、生徒が持ってきた模擬試験の成績表の合格判定(A,B,C,D,E)や学力偏差値の数値しか見ないのです。
私が職員として働いていた大手予備校では、模擬試験の度に、全ての大学の学部・学科に対して『判定値』を定めていました。これは膨大な作業です。
◆前年度模試受験者の大学合格追跡調査結果、今回との前年度同模試との平均点の乖離、志望者の動向のすべてを勘案して、超大型コンピュータで仮の『判定値』を弾き出します。
◆志望者数の少なかった学部・学科については、統計的な偏りが無いかを確認します。
◆最後は、熟練した担当者が合議で正式な『判定値』を決定します。
何故、模擬試験を行う度に『判定値』を決めなければならないかと言うと、前年度の同じ時期の模擬試験の統計内容と比較しないと正確な合否判定が出来ないからです。
理由は簡単です。すべての生徒の学力が受験直前まで変動するからです。ですから、実は、模擬試験の合格判定と言うのは、その時の模擬試験の結果についてしか言えない事なのです。
確かに、大手予備校では大学受験用に『入試難易ランキング』を発表していますが、必ず「第〇回 ☐☐模試のデータを基準にしています。」と但し書きをしているはずです。
高校受験の場合
ですが、高校受験においては、そのような配慮を見たことがありません。
一度何かの基準で算出された『合格基準』が、『万能の物差し』の様に考えられてしまうのです。
1回の模擬試験で出された学力偏差値と合格判定は、『瞬間風速』のようなものです。
未来を予想できる指標にはなりません。
もし、少しでも正確な進路指導をしたいのならば、最低でも第一志望者数と志望者内順位ぐらいは気にしてください。実際、模擬試験の成績表にはハッキリと記載されていますが、ほとんどの教育関係者が目を通さない項目なのです。
ですから、大多数の教育関係者は、あいまいな進路指導しかできないのです。
その結果、生徒の受けたい高校ではなく、安全策を取ってランクを落とした高校への受験を勧めるケースが多く見受けられることになります。
進路指導者のスキル不足を棚に上げて、生徒に志望校のランクを下げさせるなんて許せません。
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中学3年生の秋ぐらいになって成績の結果で志望校を決めるのではなく、中学1年生、2年生の頃から志望校に必要な成績を狙うのです。
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